「あぁ…、もうすぐ来るよ」


「そっか」


「藍、俺はそらを見てくる。お前はあゆみを見てやれ」

「分かった…」



あゆみの前に立つと、あゆみが椅子を指差した。


「座ってよ」

「あぁ…」



ゆっくりと座ると。



「私、元々頭に悪い病気あったみたいでね…。

花瓶のせいってワケでもなくて。

ある意味、病院に来たからこそ分かったの。


私は延命治療を受けない」


「…髪が抜けるから?」

「いや。吐き気とかイヤだもん」



あゆみらしい、そう思って俺は精一杯微笑んだ。