アイツの気持ちなんか見ていなかった。


俺はぎゅっと服を握り締めた。

つくづく、俺は弱い人だ。



「…ありがとうございます」


「あぁ。やっと瞳に色が宿ったか」


「さすがっすね」

藍が少しだけ、笑みを見せていた。


「…俺、桃乃にちゃんと伝えてきます」

「その間、俺等に任せろ」


藍がブイサインを作っていた。


あゆみ。


俺はもっと強くなりたいんだ…。

だから一瞬だけ離れるけど、どうか無事でいてくれよな…。




外は大雨だった。

そんなのもお構いなしにアイツの家に向かった。