「…ごめん。冷静になる」
「いいよ、別に。謝らなくても許さないのは変わらないし。
謝ってばかりだと虚しくなるだけよ」
「…」
蓮君は立ち去っていく。
その背中を遠めに見つめた。
「…あゆちゃん」
入れ替わるように入ってきた、窪野さん。
その表情には焦りなんてなくて。
ただ清々しい顔つきだった。
「…本当にその考え。お兄さん譲りだね…」
「血が繋がってるし。少しは入っているのかも」
「はは…、アイツ泣きそうだったよ?容赦ないことでも言った?」
「んー…わかんない」
窪野さんが苦笑して、手を握った。
「…帰ろ」