「…思ってない」

「じゃあ」


急に蓮君が私の腕を握った。

そして、壁に押し付けられる。

完璧に逃げ場を失っていた。


「…こうすれば。キミは見ているだけの、傍観者と同じだよ」

「…確かにそうだね」

「ねぇ。何で平然としているの?」

「何で?」

「質問に質問で返さないでくれるかな」


キミの心は暗い闇の中だ。

それは誰がどう開けようとしても拒まれるんだ。


「平然としているのは、どんなときでも私は焦らないから。

じゃあ逆に答えて。

どうしてそんな事を聞くの?

焦ってでも欲しかったわけ?」