「…入れば」
「はい」
それは蓮君だった。
私は蓮君をよく見つめた。
あの痛みの日々を、私は一切覚えていない。
「…キミ、ここの生徒じゃないけど。
勝手に入れば、どうなると思ってるの」
「別に。そんくらい知ってる。大きなお世話だ。
ほら、あゆみ。行くぞ」
「うん」
蓮君の横を通り過ぎる瞬間―…。
「ソイツといないほうがいい」
そう言われた。
無論、藍には聞こえていない。
だけど私は藍を信じた。
彼は初めて私に、温かい生活をくれた人なのだから。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…