「てめぇ…、道理で俺を知らないわけだ」

「藍は有名人?」

「まぁー、ホスト界ではトップだかんな」

「トップて?」

「一番つーこんだ!!」

後ろからきゅっと抱きしめられた。

私は勿論、ドキッとかはしない。

「オンナをこうやって、抱きしめて金貰う仕事」

「詐欺みたい」

「うわ、ひでぇ。お前の感覚がおかしいんだよ」

「私はロボットみたいだから」

「言えてる。抱き寄せてキスとかしちまえば…。
ころっと落ちるんだよ」

「オンナって単純なんだね」

「お前もだろ」

私は料理している手を一度止めた。

「私は落ちないから。絶対に」

「ふぅん?ないな、それは。俺と過ごしているウチに落ちるぜ」

「ない」

「さーな」

こうしているうちに料理は完成。

お弁当にちゃちゃっと詰め込んだ。