[姫奈side]


あたしがあの生活から逃れられたのは



確か中一の終わり位だった。





どん底に居たあたし。




今は頂点に君臨している様な気分。




「行ってらっしゃいませ、姫奈お嬢様」



そう言ってあたしに頭をさげる執事。



別に不満はない。



でも、すごく退屈……。




あたしが通っているこの高校は、


“お金持ち“


という称号を持っている人しか通えない。




でも、普通の学校と何も変わらないと思う。




パチっ



目が見えない……。



「だ~れだっ!」




この明るい声、ローズの香り。




「結奈。手どけて。」




目の前が明るくなる。




「んも~。すぐ当てないでよー!面白くないな……。」





ヒョコっと横から顔を出したこの子は。



背が小さいながらに、


頭の上にあるお団子がチャームで


黒目がちの目、薄い唇、小さな顔。



大手石油会社の社長令嬢、


朝霧結奈(あさぎり ゆいな)