「…離してくれない?」



私は溜息交じりにそう言った。





触れられてしまった。


惚れられてしまった。





「わ、悪い…っ!いきなり掴んで…」


「…もう、いいよ。」





そう、もういい。


もう、遅い。





「ごめんね、滝谷君。気分が悪いから帰るね。」



「委員会の先生に言っておいて。」と付けたし私は教室から出る。





背中に視線を感じる。


明日から、どうなるんだろうか。



重い足取りで、誰もいないアパートへと帰った。