私の勢いに、滝山は圧倒されたように身体を仰け反らせた。


「薫子様を一人にしてしまったから、宜しくお願いします、と」


えっ……


「……それだけ?」

「さようでございますが……」


それ、だけ……。


「そう……」


北見さんは、やっぱり戻らないんだ。

だから、滝山にここへ戻ってもらった。


浮かしていた腰をストンと落とした。


「薫子様? 大丈夫ですか?」

「……大丈夫」