「私の人生は、自分の意見や思いが何一つ通らないものだって思って」


やかんから溢れそうになるほど注いだ水を止める。

すると、再び静かな空気が包み込んだ。


「その方がよかった? 俺は現れない方がよかった?」

「……そうじゃなくて、」

「いつもそうだったとしても、これからも人に言われた通りでいいのか?」


首を横に振る。


「それじゃ、カコちゃんはどうしたい?」

「私は……」


トクンと鼓動が揺れる。


私の望みは、ひとつ。

北見さんと一緒にいること……。