「いやぁーっ、や、やめて…」

長い針と短い針が真上で重なった頃、、、一人の少女の声が響き渡った。

「大人しく、静かにしてろよ」

少女の声に加え、三人の男たちの脅しの声が混じる。辺りを見渡せば、何もない、とある丘の上。ここにはベンチと後ろには森、そして煌々と輝く三日月と星しかない。

「お、お願いします。やめて下さい」

彼女は泣きたくなるのを堪えながら声を振り絞った。

「だから、静かにしてろよ」

彼女を黙らせるために殴ろうとしたが、

ーパシッ

それを止める一つの手。

「こんなとこで何やってんの?」

そこには月を背に男が、少年が立っていた。顔はよく見えない。月のせいでよく見えないがフードかキャップを被ってるようだ。

「は?お前に関係なくね?早く放せよ」

「無理」

「何?喧嘩売ってんの?それとも混ざりたい系?」

そう言って3人の男たちは笑った。

「…」

次の瞬間には既に男三人は、地面に伏していた。よく見ると気絶してた。

「え?」

と言いながら彼女は座り込んでしまった。暫くの間、沈黙が続いた。少し落ち着いてきた頃にまだ近くに立っていた少年に声をかけた。

「助けて頂いてありがとうございました。あの、貴方は?」

「…」

「あ、あの?」

先程もそうだったが少年はあんまり喋らないタイプなのか、と思っていた頃に喋り始めた。

「あんた名前は?」

「あ、えっと…あ、糺。倉元 糺です」

「…朝燈」

朝燈さんと言うようだ。