「そういえば、生嶋さんの友達かもしれない人達見たよ」




「へぇ! どんな感じの人?」





 えぇと、とぼくは記憶を辿りながら答える。




「小さいお下げの人と、ボーイッシュな人と、あと一人どんな人だっけな……。ごめん、覚えてないや」





 ぼくはやり取りをしていたその二人しか見ていなくて、もう一人の姿をあまり見ていなかったかも。



 一応見たとは思うんだけど記憶に残ってないから、不思議だよなぁ。





 それでも三人のうちの二人の特徴で判断したのだろう、彼女はあぁと頷いた。




「それきっと、ゆかり達だよ」




 
 ……やっぱり。ぼくの推測は外れてなかったみたいだ。



 ……って言っても彼女達、バリバリ『幾羽』って言ってたし、他人の方が珍しい。





「お下げの人は生嶋さんを想って泣いてたし、ボーイッシュな人は自分達が泣いたら生嶋さんはもっと辛くなるから泣くな、って言ってた。




 ――――病室から出ても悪口なんか言ってなかったんだから、この友情は偽物なんかじゃないはずだよ」





 そう言って彼女に優しく微笑むと、彼女の目にはみるみるうちにしょっぱい雫が溜まっていく。





「そっ、かぁ……」





 涙を隠すようにして目の前の彼女は白い掛け布団に顔を埋めた。