堪らず説明を求めて言うと、彼女は笑顔でマジシャンが種明かしをするかのように、ぼくに答えを教えてくれた。





「世尾くんがやってくれたのは、正解だったんだよ。




 三人共わたしの為に怒ってくれたり悲しんでくれたりして……。きちんと、伝えたいことも伝えられた。





 全部、世尾くんのお陰だよ」





 
 ぼくの行動は、間違ってなかったんだ……。



 
 そう実感すると、ひどい脱力感に襲われる。




 床に正座しながら、ほっとした気分で彼女の言葉に耳を傾けた。





「だから、まぁ……鞄をあさってスマホを見たのはやだったけど、終わり良ければ全て良しだから!




 だから絶対このシュシュは捨てないよ。一生、大切にする」





 
 もう余命が残り少ない彼女にとって、『一生』という言葉の重みは普通の人が言うのとは全く違う。



 軽く言った『一生』とは、本当に違う言葉のように。





 それにしても、ならぼくが入ってきた時の暗い空気はなんだったんだ?




 まだパズルを完成させるにはピースが足りなくて、ぼくは生嶋さんに尋ねた。




「じゃあ、なんでぼくが入ってきた時、あんな暗い空気だったの?」





 すると、水色の髪を揺らしながらいたずらっぽく笑ってちょろっと舌を出した。