すぐにまた後ろを見ると、もう廊下の角を曲がるところで、見えたのは三人の後ろ姿だけだった。



 もちろん、会話なんて聞こえやしない。





 良かった……。



 生嶋さん、女子の友情は怖いって言ってたけど、生嶋さんの友達は病室から出ても陰口を言うどころか君を思って泣いてたよ。




 偽物の友情じゃなくてよかったね。




 ぼくも、自分のことのように嬉しくて堪らない。





 もう一度押したボタンでやって来たエレベーターに今度こそ乗り込み、さっきとは大違いに鼻歌を歌いながら軽やかに廊下を歩く。




 今朝と同様のやり取りをして扉を開くと。





「……」





 入ってきたぼくを重苦しい雰囲気が包み込む。



 病室に生嶋さん以外の影はない。





 ……忘れてた。



 でも、なんでそんな暗いんだ? さっきまで友達と喋ってたんだし、もう少し明るくてもいいはずじゃ……。




 ぼくの顔なんか見たくもないとても言うように、体育座りをして膝に額を付ける彼女。






 な、な、な、なんで……!?



 あぁ、理由はよく分からないけどぼくは彼女に嫌われてしまったのかも。



 どう考えてもぼくの行動でこんな被害を受けてしまっているとしか考えられない。