* * *
……そろそろかなぁ。
食やらスマホやらなんやらで時間を潰しまくって二時間半。
時刻は一時を回りそうなところだ。
生嶋さんは、きちんと話せたのだろうか。
今まで黙っていたことや言えなかったこと、すべて伝えられただろうか。
あとは生嶋さんの友達が純粋に彼女を好いて一緒にいたことを願うばかりだ。
――――――なんか、今更になって自分の行動が正しかったのか、彼女のためになったのか心配になってきた。
勝手に生嶋さんの携帯を持ちだしたことへの罪悪感や自分の行動への不安、ぼくの行動に対する彼女の最悪であろう反応がのしかかってきて、動き出そうとする体がまるで何者かがしがみついているように重く感じる。
……こんなことになるはずはなかったんだけどな。普通に病室で話すつもりだったんだけど。
でも……うん。
どんなに彼女からの反応が冷たいものでも、ぼくは伝えたほうがいいと思った。
伝えられるチャンスなんて、もういつあるか分からないのだから。
強制的なやり方は本当に悪かったけど、彼女が顔も見たくないほど嫌だと言うのならぼくはもう帰るつもりでいるし、どうなってもかまうもんか。
生嶋さんの為を思って、と自分を守るようなことを彼女に押し付ける気はないから。