……なるべく早めに済まさなきゃ。
急いで扉のひんやりとしたドアノブに手を掛け、「ちょっと待ってて!」と声をかけると駆け足で病室を出た。
ここまでも生嶋さんの声が、途切れ途切れだけど耳に届く。
あぁ、戻った時の反応が怖いなぁ……。
とりあえず、早く病院の外に出て電話をかけなきゃ。
中庭って外だから、大丈夫だよね。
人にぶつからない程度に急ぎ足で、するすると人と人の間を潜り抜ける。
――――着いた。
なんとか迷わずに中庭まで辿り着き、握ったままの生嶋さんのスマホを開いた。
じゃら、とチョコミントカラーのリボンが付いたストラップが揺れる。
罪悪感で胸を締め付けられながらも電話帳から話にあった三人の名前を探し、それぞれに事情を少し説明しつつ、電話で病院に来て下さい、と伝えた。
運良く三人全員に連絡がつき、彼女達は快く承諾してくれ、急遽(キョ)この病院の四〇一号室に来てくれるという。
白々しいような、演技っぽい反応をする人は思った通り一人もいなく、みんな絶句や驚愕、言ってくれなかったことへの怒り、または号泣などのそれぞれの反応が電話越しで感じ取れた。
思った通りの人達で良かった。