「――――――生嶋さんが仲良くしてる人って誰?」





「えっ……。なんで?」




「ちょっと……気になるから」





 困惑を隠しきれていない様子だったけど、ぽつりぽつりと友人の名前を挙げ始めた。




「えっと、ゆかりと、かなと、さおりかな。今一番仲いいのは」




「携帯貸してもらえる?」




 ぼくは再び右手を彼女の方へと差し出した。



 突然の要求に彼女は怪訝そうな顔をする。




「な、なんで……あ、だ、だめだよ! 渡さないからね?」




 
 とは言うものの、実際生嶋さんは、ベッドの上から一歩も動けない状態だ。



 ぼくがどう行動に移しても、妨げるようなことはできない。





 全体的に白い病室を見渡して探すと、うちの学校の鞄が蜜柑などのフルーツと共に机の上に置いてあった。



 あ、これか。




 
「ごめんね、生嶋さん」





 謝ってから彼女の鞄をガサゴソとあさる。



 
 本当はこんなこと、したくないんだけど……これしか方法が見つからなくて。





 背中に「世尾くーん!? 勝手にあさらないでよー! ちょっとー!」という彼女なりの阻止の言葉が投げかけられるけど、ぼくは返事をせずに探しだした純白なスマホを手に取った。