* * *



 その日から、2日が経った。




 幸い生嶋さんが倒れた翌日は休日だったので、もちろんぼくは朝から病院に居続けた。





 昨日、つまり土曜日は主に家族の時間を多めに取り、今日はぼくのための時間を作ってくれた優しい生嶋さんの両親。



 彼氏でもなんでもない、ぼくなんかのために、一緒にいたいはずの娘との時間を分け与えてくれた。




 その二人に感謝して、いつ終わりが来るか分からない、残り少ない時間を悔いの残らないように上手く使わなければならない。





 そんなことを考えていたら、ノックするために上げた腕が緊張によって空中で止まる。




 ……いくぞ。




 ゆっくりとコン、コンと硬い扉を二回叩く。



 
 中から「はーい」と、彼女の昨日よりも弾んだ声が聞こえたのを確認すると、銀色のドアノブを捻(ヒネ)った。




 視界が一点、白いドアから太陽の柔らかい光が差し込む明るい病室に変わる。



 その部屋の中でも一際大きな存在感を放っているベッドで、上体を起こしているのは生嶋さん。





 声でも感じたように、一日安静にして少し回復したのだろうか、昨日までの弱々しい表情はなく、代わりに頬を赤く染め緊張した面持ちでいる。




「せ、世尾くん……っ!」