まだまだ頭がついてこなくて、体が震えて、冷静な対応ができない。




 でも、どうにかしなくちゃ、と必死な思いで、ぼくはゴンドラのドアを激しく両手で叩いた。




「開けてください! お願いです!! 



早く病院に連れて行かないと生嶋さんが……っ!





早く! 早く――――――――!!」






 救急車を呼ぶという選択肢も頭の中にはなくて。





 ただ、ひたすら涙を流しながら、両手の痛みが感じなくなるまでドアを叩いた。







 
 このとき救急車を呼んでおけば、運命は少しでも良くなっていたかもしれないのに。