異様な雰囲気を全身で感じ取り、




「生嶋さん……っ!?」




 
 ぼくが硬い席から立ち上がった時。






 
 ポタ、と音を立てて、赤い液体が彼女の手の間から垂れ落ちた。




 ゴンドラの床に一つ、二つと鮮やかな赤く丸い模様が彩られてく。





「ご、ごめ、ゴホッ、ゴホッ……」






 その後何度か激しい咳を繰り返し、光に反射して光る涙を流しながら、ゴンドラの冷たい床にバタリと倒れた。





「い、生嶋、さん……?」





 ぼくは目の前で一体なにが起こっているのか、状況に頭が追いついていなかった。





 なんで生島さんは倒れて動かないの?





 さっきまで普通に喋ってたよね。





 それに、床に垂れてるこの赤は……。






「――――――――っ!!」





 まだ完全ではないけど、頭が必死で追いつこうとしてくれているお陰で状況が徐々に把握できてきた。




「……生嶋さん」



 
 目をしっかり閉じて横に倒れる彼女の顔を見つめ、濡れた頬を指で拭う。




「生嶋さん。生嶋さん! ……っ、起きてよ……!!」





 何度彼女の名を呼んでも、状況は全く変わらない。



 ただ、観覧車がゆっくりと、変わらず動くだけ。