そんな様子を見ても、私は話しかける勇気はなかったから、相変わらず自分の席から動かないままだった。

でも、そんな日々が変わる日が来た。

美菜が転校してきて数日後、なんと、美菜から私に声をかけてきたんだ。

「ねぇねぇ、あたし、まだみんなの名前覚えてないんだけど、あなた、水希っていうんでしょ?かわいい名前だからすぐ覚えちゃった!水希って呼んでもいい?」

私は内心ではビックリしたけど、「......あ、はい...。」って返事するのがやっとだった。

東京の子って変わってるんだな。私なんかに話しかけるなんて。と、思いながら...。

クラスのみんなも、驚いた表情で私と美菜に注目した。

クラスの誰が言ったか分からないけど、「え?あの子に話しかけるの?」という小さな声が聞こえた。