美菜が転校してきて、二週間くらいたった頃、昼休み、美菜が私のところへ来た。中学で給食はあったけど、私はいつも1人でみんなから少し席を離して食べていた。

美菜は、「みーずき！1人で食べてないで、みんなと食べようよ！」と呼びに来てくれた。

美菜は転校生なのに、あっという間にクラスの女子の中心的な存在になっていた。

私は入学してもうすぐ4カ月になるというのに、誰ともほとんど喋ってなかったから、みんなのところへ行くのが怖くなって、美菜に「え...？私はここでいいから...。」って言ったけど、美菜は「大丈夫！みんな意地悪なんかしないから！」って、私の給食のお盆を取って、持って行ってしまった。

この日は、美菜とクラスの女子が5人で机をくっつけてお昼を過ごしていた。美菜は自分の給食を隣の子のほうへ寄せて、空いたスペースに私の給食を置いた。

美菜が「椅子、持っておいでよ！」って言うから、私はゆっくり立ち上がり、椅子を持ってみんなの方へ行く。



心臓がバクバクだった。体中から汗が出て、足は震えそうだった。

だって、いつも自分の席にいて、誰にも話しかけられなくて、話しかけてくれた子にも返事できなくて、暗くて感じの悪いヤツだと思われてるのに、みんなの前に行ったら、私、何を言われるの......？

緊張と不安でいっぱいだった。