何も答えようとせず、不機嫌そうにムスッとする陽平に腹が立って仕方ない。



「少しは気を遣って楽しいフリとか出来ないの?映画のチケットをくれた芹沢君に対して、失礼すぎるよ」



「俺、今日は楽しむつもりなんてねーし。つーか、楽しめるわけないだろ」



ーームカッ



腕組みしながら平然と言う陽平に、イライラが増して行く。



せっかくみんなで来てるのに、こんな態度ってないでしょ。



いくら芹沢君のことが嫌いでも、人としてそれはないんじゃないの?



ショッピングモールのレストラン街の片隅で、あたしと陽平は向かい合っていた。


休日ということもあって人が多かったけど、ここはお店も何もない場所だからほとんど人の気配がしない。