「本当は俺と並んで歩きたいんだろ?だったら、最初からそう言えよ」
「えっ……?」
いや、そんなことはひとことも言ってませんけど!?
だけど肩を抱かれたままグイグイ歩かされて、いつの間にか芹沢君とまりあから離れていた。
後ろを振り返ると、2人は苦笑いをしていて。
まりあはクスクス笑ってるような感じだったけど、芹沢君はきっと陽平の横暴振りに呆れてるんだろう。
「ちょっと!どういうつもり?な、なんでこんなこと……」
陽平の横顔を見上げる。
至近距離にある綺麗な顔と、逞しい腕にありえないくらいドキドキする。
……な、なにこれ。
本当に。
どうかしてるよ、あたし。
傷付いてたはずなのに、陽平の行動ひとつに振り回されてばっかりだ。
「邪魔するって言っただろ?悪いけど、まだまだこんなもんじゃねーよ」
「えっ?」
そういえば、そんなことを言ってたような気がしないでもない。