「っていうか、そういうことは本気で好きな人にだけ言うものであって、冗談でもあたしなんかに言っちゃダメなの。わかった?」
当たり前だけど、冗談でもそんなこと言っちゃダメなんだよ。
バカだけど、そこはわかってると思ってたのに。
「談じゃ……ねーよ」
「えっ?何か言った?」
ボソッと囁くような声が聞こえたけど、聞き取れなくて訊き返す。
陽平はなぜか、切なげに瞳を揺らしていた。
な、なんなの?
ふてくされていたかと思えば、急にそんな表情を見せて。
「別に。日曜、俺も行くから」
今度は陽平がそう言って顔をプイと背ける。
なんだか傷付いているようにも見えるその横顔に、あたしの中で疑問は膨らむばかり。
「……わかった。さっきも言ったけど、芹沢君とまりあも一緒だから。11時に駅で待ち合わせね」
“じゃあ……”
そう言って、立ち上がった。
なんだかもう、早く帰りたい。
ーーガシッ
だけど、陽平に腕を掴まれて。
「愛梨にとって、俺はただの男友達なのかよ?」
「え……?」