「なんだよ、それ。男なら誰だっていいのかよ?」
「ち、違うよ!陽平がダメなら、芹沢君の友達と行くことになってるの」
「芹沢の友達?なんだそれ。意味わかんねーし」
「ダブルデートだよ。芹沢君とまりあとあたしと……」
「なんだよ、ダブルデートって。なんで俺が行かなきゃなんねーんだよ?」
陽平の顔はさらに険しくなる。
なんでここまで怒るのか、あたしには全然理解出来ない。
「それはまぁ、いろいろあって」
芹沢君がまりあを好きってことは、あたしが勝手にペラペラ喋るわけにはいかない。
そのために芹沢君に協力しているってことも、勝手に言ったらダメな気がして黙っておくことにした。
「あっそ。お前のことだから、どうせロクなことじゃねーんだろうな」
ムッ。
な、なんなのこの態度。
百歩譲って大人な対応をしてあげてるのに。
っていうか、何度も言うけど怒ってるのはこっちの方なんだから!
謝って欲しいくらいなんだからね!
思い出したら、またイライラして来た。
「ロクなことじゃないのは陽平の方でしょ?ウソの告白に、あたしがどれほど振り回されたと思ってんの?」
笑って冗談で済ませるほど、陽平にとっては軽いものだったんでしょ?
言っていいことと悪いことがあることくらい、陽平ならわかってると思ってた。