トボトボ歩きながら陽平の家の前を通った時、ふと映画のことがよぎって足が止まった。
どうしよう。
まだ誘えてない。
明後日なのに、さすがに今日誘わないとまずいよね。
陽平がダメなら、芹沢君も友達を誘うだろうし。
返事は早い方がいいに決まってる。
このまま家に寄ってみようかな。
でも、あたしはまだ怒ってるんだからね。
うーん。
どうしようか悩みまくった結果、あたしは陽平の家のインターホンを押していた。
…………
ーーガチャ
「あら~愛梨ちゃん!久しぶりね~、いらっしゃい」
玄関が開くと、中から陽平そっくりの可愛らしい女の人が笑顔で出迎えてくれた。
若々しくて無邪気な陽平のお母さん。
小学生の時はよく遊びに来てたけど、その頃からおばさんは変わらないなぁ。
「お久しぶりです。あの、陽平いますか?」
何の連絡もせずに来たから、いるかいないかわからなかった。