陽平にこんな目を向けられるのは初めてで、ドクドクと鼓動が嫌な音を立て始める。
ウ、ウソ……。
いたんだ?
もしかして……聞かれた?
いつもみたいに強気になれない。
ううん、そんな気にならないほど陽平の雰囲気がいつもと違っていた。
からかって笑って来たり、バカにして悪態をついて来たり。
ふざけた感じの陽平しか見たことがなかったから、今のピリピリする空気の中では知らない人みたいに見えて動けなくなってしまった。
「悪かったな」
固まるあたしに陽平が冷たく言う。
「え?」
「好きで悪かったな」
…………!?
……えっ!?
好きで悪かったな……って?
好きで……
スキデ……
ええっ!?
ウソ、でしょ……?
だけど陽平の真剣な目を見ていると、それが冗談だとは思えなくて。
だけど信じることも出来なくて。
ただ、目を見開いたまま陽平の顔を見つめることしか出来ない。