軽く自己嫌悪に陥って、涙が出そうになった。



「戻ってこないから、心配になって」



そっか。


だよね。


そういう奴だよ、陽平は。


誰にでも優しいんだ。


でもね、その優しさは苦しいだけだよ。



「大丈夫だから……もう帰っていいよ。じゃあね」



カバンを肩にかけると、陽平の横を通り過ぎて出ようとした。



「待てよ、一緒に帰ろうぜ」



腕を掴まれて引き留められる。



ドキッとして、思わず陽平の顔を見上げた。



「なんで?あたしなんかに構ってるヒマはないでしょ?それに……用事があるし」



“じゃあ”



そう言って腕を振り払おうとしたけど。



「はぁ?なんだよ、それ。わけわかんねーこと言うなって!ほら、行くぞ」



「ちょ、離してよ……」



「ムリだし」



な、なんで……!?