「あたしの気持ちなんてわかんないよ!」
芹沢君と順調のまりあには、あたしの気持ちなんてわからない。
わかるはずない。
こんなに苦しくて、ツラくて……。
胸が痛くなる気持ちは、まりあにはわからない。
それに陽平の肩ばかり持つまりあが嫌だった。
わかるよ。
意地を張ってるのはあたしだって。
素直にならなきゃいけないって。
わかってるけど、それが出来ないの。
出来たら苦労はしない。
人はね、そんな簡単に変われるもんじゃないんだよ。
素直になれないから苦しくてツラい。
深田さんみたいに女の子らしく、可愛くなれたらどれだけいいか。
「何でも持ってて……苦労なんかしたことのないまりあには、あたしの気持ちは絶対にわからない」
「…………」
黙り込んでしまったまりあから目をそらして、その場から走り去った。