なによ、この手は。
「誕生日プレゼントくれ」
「は、はぁ?」
「お前、絶対俺の誕生日忘れてただろ?」
ムッとする陽平。
その手はずっと、あたしに向けられたまま。
忘れてないよ。
忘れるはずないじゃん。
誕生日の日はずっとそわそわしたまま落ち着かなくて、買ったピアスを渡しに行こうか本気で迷ったんだから。
だけど、結局渡しに行くことは出来なかった。
彼女である深田さんの顔が頭に浮かんで、ピアスなんて身に付ける物を買った自分がどうしようもなく恥ずかしかった。
「忘れてたバツとして、お詫びになんかくれよな」
「な、なんであたしが!あげるわけないでしょ!」
こんなことが言いたいわけじゃないのに、可愛くないことばかりがついつい出る。