緑色のフタを開けると、ヨモギの香りがほのかに漂って来た。
そうそう!
これこれ。
めちゃくちゃ美味しいんだ、このヨモギプリン。
ミーコとまりあは微妙だって言うけど、あたしの家族もこれが大好き。
そして……陽平もヨモギプリンのファン。
使い捨てスプーンを持ち、薄緑色をしたプリンをすくって口に運んだ。
「うーん、美味しい!」
やっぱりヨモギプリンは最高だね。
これに勝るプリンは他にないよ。
「ぷっ」
幸せを噛み締めながらプリンを味わっていると、陽平がバカにしたように笑った。
ーームッ
失礼な奴め。
「美味そうに食うよな。愛梨はいつも」
「だって、美味しいんだもん」
美味しいって言いながら食べて、何が悪いの?
そう思って開き直った。
「スネるなって。愛梨の食いっぷり、俺は好きだし」
「……っ」
す、好きって。
別にそういう意味じゃないよね。
わかってるけど、意識してしまう。