「あ、でも。火がないよ」
「早まるなって。ほら」
「え?あ」
陽平がポケットからゴソゴソ取り出したのは、さっきの男子から取り上げたであろう着火剤。
「やった!花火花火~!」
陽平と2人で出来るのが嬉しくて、終始頬が緩みっぱなし。
「マジでガキみたいだな」
「う、うるさいなぁ。いいでしょ、好きなんだからっ!」
「バーカ、可愛いって言ってんだよ」
えっ……!?
か、可愛い……?
ヤバイ、顔が熱い。
「……あ、ありがと」
わー。
あたし……バカ?
こんなの、冗談に決まってるのに。
いちいち本気にしてたら、身が持たないよ。