一瞬だけだったけどピリッとした鋭い痛みが走って、あたしは頬を押さえてうずくまった。 「ちょっと男子!いい加減にしなよっ!」 しびれを切らしたまりあの声が響き渡る。 まりあのこんな声を聞いたのは初めてで、相当怒っているようだった。 「愛梨ちゃん、大丈夫?」 そばにいた女子が心配そうに声をかけてくれる。 「う、うん、なんとか……」 「愛梨!」 ゆっくり顔を上げると、慌てた様子で陽平や他の男子が駆け寄って来るのが見えた。