そして、すぐにあたしの腕を掴んだ。
「行くぞ」
それだけ言うと、あたしの返事も聞かずにスタスタと歩き出す。
周りにいた仲間達は、サッと道を開けて誰もが顔を強張らせていた。
「よ、陽平……」
コンビニから住宅街に入ったところで、やっと恐怖から解放されたあたしは、震える声で名前を呼ぶ。
「ありがとう」
その言葉にピタッと足を止めた陽平は、横目にチラッとあたしを見た。
とても心配そうな表情で、悔しそうに唇を噛み締めている。
「ごめんな、怖かっただろ?」
あたしの腕を掴む陽平の手の力が強くなった。
そして、そこで気付いた。
自分の手が震えていたことに。
恐怖に怯える心を、陽平の手がギュッと包み込んでくれているようだ。
それだけですごく安心する。
「だ、大丈夫だよ……!陽平が守ってくれたから。本当にありがとう」
心配させまいと、あたしは陽平の目を見てニコッと笑った。