「ちょっと寄り道して帰ろうぜ」
「えっ?」
気まずい中、沈黙を破ったのは陽平だった。
ここって、コンビニ……?
立ち尽くすあたしを気にも留めず、陽平はスタスタ歩いて中に入って行く。
すぐそばの駐車場では、ガラの悪い高校の男子生徒が数人たむろしていた。
うわぁ、なんかやだな。
派手に騒いで、通行人がみんな迷惑してる。
それを横目に見ながら、陽平に続いてコンビニの中に入った。
「好きなの選べよ」
「え?」
好きなの……?
「この前のお詫び。これでも悪いと思ってるから」
「えっ……?」
お、お詫びって?
キスのこと……?
「何でも奢るから、それで許して欲しい。ホントごめんな」
素直に謝る陽平の姿が意外すぎて、胸につっかえていたものがスーッと消えていく。
そっか。
一応気にしてくれてたんだ。
「し、仕方ないな」
物で釣られるあたしもあたしかな。
完全に許すことはできないけど……。
陽平とは前みたいな関係に戻りたいから、忘れるためのいいきっかけだと思ってチャラにしてあげよう。