深田さんは涙目になりながら、泣かないように思いっきり唇を噛み締めている。



それだけで、本気で陽平のことが好きなんだって伝わって来た。



あんなに真剣にぶつかられたら、誰だって心が動かされるに決まってる。



「ごめん。何を言われても、俺の気持ちは変わらないから」



「あ、あたしだって！そう簡単に諦めたりできないから。じゃあね……っ！」



それだけ言うと、深田さんは走って行ってしまった。


後ろ姿までもが可愛くて、胸が締め付けられる。



なんでだろう？


モヤモヤする。


陽平はモテるんだと、改めて認識させられてしまった。


もしかして、まりあが前に見た告白現場って深田さんのことだったのかな？


すっごい可愛い子だって言ってたもんね。



「……深田さん、陽平のことが相当好きなんだね」



「けど、俺は好きじゃねーし」



「……ふーん」



でも、まだ諦めないみたいな言い方してたじゃん。


その内気が変わるってこともありえる。



なんでかな。


どんどん心の中にモヤモヤが広がって行く。