とりあえず、ホッと胸を撫で下ろす。
陽平のせいで雰囲気ぶち壊しにならなくてよかった。
昨日のこと、後で芹沢君にも謝らなきゃ。
悪いことしちゃったもんね。
「……愛梨」
ーードキッ
名前を呼ばれて顔を上げると、陽平が男子の輪から外れて歩いて来るのが見えた。
眠いのか目がトロンとしている。
げっ。
ど、どうしよう……。
「ごめん!あたし、ちょっとトイレ行って来るっ」
「え?もうすぐチャイム鳴るよ~!」
「大丈夫、すぐだから」
慌てて立ち上がって、逃げるようにして教室を出た。
とにかく今は陽平と話したくない。
普通にしていられないよ。