何回も目が合いそうになったけど、陽平が動く度に、あたしも慌てて顔をまりあの方に向けて回避した。
……はぁ。
ホントやだ。
高校に入ったら、優しい彼氏を見つけて王子様みたいな人と付き合うって決めてたのに。
それなのに……なんでよりによって陽平とキスなんて。
ファーストキス、だったのに。
その光景が頭から離れなくて、未だにドキドキしてる自分が信じられない。
ありえない。
ホント、ありえない。
あたしのファーストキスを返せと大声で言ってやりたい。
「昨日はごめんね。芹沢君と楽しめた?」
陽平のことは置いといて、気がかりだったことをまりあに聞く。
「うん!普通に楽しかったよ~!その辺ブラブラして、ちょっとお茶して帰ったんだ~!」
照れたように頬を赤らめて、ニッコリ笑うまりあ。
「そっか。それなら良かった」
芹沢君、うまくやったんだね。