「冗談……?俺が冗談でこんなことすると思ってんの?」
涙目のあたしに、陽平が追い打ちをかける。
「じゃあなんなの……?もう……わかんないよ」
陽平がわからない。
なんでキスなんてしたの?
あたしのことが……好きなの?
それとも、これも嫌がらせ?
……冗談でした、なんて言わないよね?
そう言われちゃったら……あたしは。
あたしは……っ。
「冗談でしたりなんかしねーよ」
ボソッとつぶやかれた言葉にドキッとする。
冗談じゃないなら……なに?
なんなの?
うまく処理しきれなくて戸惑う。
ここ最近、陽平に振り回されてばっかりだ。
……悔しい。
「あ、たし、帰る」
クルリと振り返って、陽平の返事も聞かずに駆け出した。