何が起こったのかわからなくて、目を見開いたまま固まる。
陽平は慣れたように目を閉じていた。
唇に感じる確かな温もりに、だんだんキスされているんだと頭が認識して来た。
え、ナニコレ。
や、やだっ……。
なんで。
「っ……!」
な、なんで……!?
こんなこと……。
「や……めてっ!」
気まずさと恥ずかしさでいっぱいになったあたしは、陽平の胸を思いっきり突き飛ばした。
し、信じられない……。
ありえない。
最低……!
そう思うのに、なぜかドキドキしているあたしがいて。
顔も熱くて、真っ赤。
嫌なはずなのに、無理やりだったのに……どうしてドキドキが止まらないの?
「な、なんでこんな……冗談でもひどいよ」
なんだかもう、自分の気持ちがよくわからなくて。
次第に涙が込み上げて来た。