「な、何で…」

「聞きたいことあったし。」

…よかった、なんて少し安心した。

もし一発殴りに行ってきた、とか言われたらきっともう言葉も出なかったよ。


「ほんとは殴ってやろうと思ってたんだけど、我慢した。俺殴れる立場じゃないし、なーんか幸せそうに笑ってたし」

「幸せそう?」

「あー…、詳しくは言わないけど」

「え…ちょっと気になる、教えてよ」

「絶対教えない」


加地くんは絵をしっかり見てるけど、あたしは正直それどころじゃなかった。

先生の話が出たときから。

一応見てはいるけど頭に入ってこない感じ。きっと他のことを考えてるからだ。


「俺からは何も言わない。何かムカつくし、咲良も蓮くんから聞きたいだろ?」

きっと後者が本音だ。

加地くん、恥ずかしいからムカつくなんて言ってるけど、顔はちょっと笑ってるんだもん。