「せんせ…っ」

確かにキスは初めてじゃない。

先生はそれに対してなのか何なのか、よく分かんないけどちょっとだけ不機嫌になってた。


「やっぱりあのとき我慢せずにしちゃえばよかったな」

「え…?」

「んふふ、やっぱ俺バカだ」

ふにゃんと笑う先生が、掴んでいたゆっくり手首を離した。


「迷ってるってことは、俺にもチャンスはあるってことだよね?」

熱くなった頬を先生の指がスッと撫でた。

「だったら諦めないから」

ごめんね、優真。

「加地くんにも言ってよ。俺が茉央ちゃんのこと奪おうとしてるって」

優真じゃない人に触れられて、見つめられて、あたしすごくドキドキしてる。

「でも…」

そんなことを言ったら、完全に先生だけが悪者になってしまう。