「時間切れってことにしちゃおうか」

先生がまた手首を引くから、さっき近づいた距離がまたグッと近くなった。


「せんせ…」

ふわりと先生の匂いがして、視線を上げた時にはもう、あたしの唇と先生のがフニッと触れていた。


目を閉じる余裕もなくて、ボヤけるくらい近くに先生の閉じた目がある。

まつげ長いな、なんて全く別のことが思い浮かんだりして、そんなことを考えているうちにそれは離れていた。

柔らかいそれが、あたしのに、触れた。


「んふふ、固まった」

何が起きたのか分からなくて固まるあたしの頬を、先生が指でつつく。

「初めて…なわけないか」

キス、した…?

まだすぐ近くにある先生の顔が、あたしの心拍数を加速させる。