「僕もきっと、善さんと同じことを思うのかもしれません。

僕もここはとても居心地の良い場所で
ずっとこのまま続けばいいと思えるんです。

だけど1日1日は過ぎ去っていって
みんなで笑って過ごせるのもあと少しなんだって思うと寂しいです」


僕は初めてこのことを打ち明けた。


善さんの気持ちが僕に
ストンと落ちてきたからかもしれない。


「卒業してまた別々の道にいくとしても
ずっと仲間だって仁は言ってくれます。

僕もそうであってほしい、仲間でいたいと思います。


だけどきっと、卒業してあの場所に戻るのと今とじゃ見る景色とか
感じ方とか違うんだろうなって。

多分きっと、僕も善さんと同じ気持ちになるんだと思うんです」



「なるほどね、だからそんなに不安そうなんだ

実はさ、千尋は最初会ったとき、操り人形みたいなそんな目をしていて
子供ながらに”かわいそう”と思った

だけど、飛翔のみんなと過ごしていくうちに
意見をいってもいいということが分かって少しずつ変わっていくのをみて
嬉しかった。

今は自分の将来、ちゃんと自分で決められるだろ?
あの時とは違う選択肢があるはずだから。

俺と同じ気持ちになっても、千尋なら大丈夫だ」


そう言って僕を見る善さんの瞳が綺麗で、
やっぱり兄弟なんだなって思った瞬間だった。