兄貴とは仲が悪いわけでもないが、
年齢が少し離れているせいかあまり兄弟らしい関係ではない。

特にこういう実家で兄貴は次期組長が約束されている長男だ。

俺からみた兄貴は何でも軽くこなして
いつも涼しい顔をして笑っているイメージで

追いかけても追いかけても届かない憧れの存在でもある


兄貴から見た俺はどういう風に映っているのだろうか



「俺ね、正直跡取りとかどうでもいいし
何かのために~とか熱くなれない

その点仁はさ、真面目だし頭の回転早いしどっちかというと
仁のほうが向いていると思うんだよね~」


いつだったか覚えてないけど
そういう風に兄貴が言っていたのをふと思い出した。

あれは多分、兄貴が高校生になってすぐの時だったか…




「でも、俺から見たら兄ちゃんの方がかっこいいし
色んなことできるから羨ましい」

こんな返答をした気がする


「ん~、仁よりも4年くらい長く生きてるから
今はそういう風に見えるだけかもよ~

仁が俺と同じ年になったとき、
人の上に立つべき人間は仁の方が良いっていう声が多くなるはず。

今、仁の周りにいる子たちはきっと
これからの仁を支えてくれる存在になるよ」




学校からの帰り道、夕日が綺麗で
なぜか兄貴の表情がとても悲しそうに見えた