「…ありがとう、るーちゃん…」
"るーちゃん"
ぼくは初めてそう呼んだ。
これはぼくなりに心を開いてるっていう証拠なんだ。
「るーちゃんって…」
朝倉ちゃん…もとい、るーちゃんは少し驚いたような困ったような顔をしていた。
でもぼくはこれから、朝倉ちゃんのこと
るーちゃんって呼ぶつもりだよ。
「えへへ
ぼくね、トモダチのことあだ名で呼ぶのが好きなんだぁ~」
「天宮のことちーちゃんって呼んでるもんね」
「そうそう!
だから朝倉ちゃんはるーちゃんって呼ぶっ」
「…うん」
「だからさ、るーちゃんもぼくのこと瀬川じゃなくて結羽って呼んでね」
トモダチの基準なんてどこにあるかわからないけど、
ぼくがトモダチって思ったならトモダチでいいじゃん。
例え、相手がぼくのこと"トモダチ"と思ってなくても
ぼくはトモダチだよって伝えればいい。
こんな簡単なことだったんだぁ
不安になってたのがバカみたいだなぁ~
「…結羽」
るーちゃんがぼくの名前をよぶ。
胸がぎゅーーーーってなるのは
なんでだろう。
「帰ろっか、終わったし」
そしてぼくたちは
資料室の整理を終えて帰宅した。
ぼくの心も整理された気がした。
空はきれいな赤色
夕焼けがきれいだった。