背中の辺りが、ゾクリとする。

そうだ……この家には今、『何か』が居る。

八峠さんに気付かれることなく、結界が張ってある家の中に侵入してきた『何か』が……。




「行ってみようぜ、上へ」

「き、危険ですよっ……!!」

「何もしないまま放置する方が危険だろ」


「そ、そうかもしれませんけどっ……」

「大丈夫」




……何を根拠に『大丈夫』と言っているのか わからない。

なのに彼は、いつもと同じように笑ってから歩き出した。




「八峠さんっ」

「心配ないって。 俺は負けねぇから」




その言葉とともに、八峠さんは私の手を握り締めた。

そして……もう一度『大丈夫』と言って、階段を上り始める。







「ちゃんと守るよ。 だから心配ない」

「……っ……」

「さぁて、侵入してきたのはどこのどいつだ? と」




楽しそうな顔で言いながら、八峠さんは躊躇うことなく2階の部屋のドアを開けた。


そこに居たのは……──。