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……




それから約1時間後。

八峠さんの知り合いの女性が家を訪ねてきて、服と夕食を届けてくれた。

女性は玄関で荷物を渡したあとすぐに帰ってしまったので、リビングで待つよう言われていた私は、女性にお礼を言いそびれてしまった。

それを八峠さんに話したら、『俺が言っといたから大丈夫』なのだとか。



そんなこんなで、女性が買ってきてくれたお弁当を二人で食べ、それが終わったあとに、私はシャワーを借りるためお風呂場へと向かった。

……で、問題発生だ。







「あの、八峠さん」

「ん?」

「届けてもらった服、なんですが……」




ソファーに寝転がる八峠さんに、そっと服を手渡す。

それを見た八峠さんは、眉間にシワを寄せて小さく小さく息を吐き出した。




「あの馬鹿……何を考えてコレを渡したんだ」

「……私は、どうすれば……」

「その辺の段ボールに俺の服があるから、それで我慢しろ」


「あ、はいっ……!!」




一瞬で機嫌の悪くなった八峠さんにビクビクしながら、段ボールを開け始める。



……女性が持ってきた服というのは、いわゆる『コスプレ衣装』というやつだ。

袋の中には、某有名アニメの女性キャラクターの服(2色)に、ご丁寧にウィッグまで……。


……届けてくれた女性は、いったい私に何をさせようとしたんだろうか?

とりあえず、下着は普通な感じのでよかった……。







「あぁもしもし、俺ですけど」




段ボールを開いてる最中に、八峠さんは女性に電話を繋げていたらしい。

今日1番の不機嫌な声だ。