私は初めてたくさんの人達と、おいしい料理に囲まれて、食事をした。
温かくて、おいしくて、楽しくてこのうえない幸せだった。
その夜ーー。
「ヤノウくん。」
「なに?」
なんだか、呼んだものの、ナタおばさんの言っていたことを聞くのは無神経だと思い、
「最初にこんなステキな場所に連れてきてありがとうございます。」
「いいよ。堅苦しい。」
背を向けながら言う。
「はい。」
「……その、俺も楽しかったし。」
た、楽しいと思ってくれてたんだ!!
「あの!あと、どれくらいしたらここから旅立つんですか?」
「んー。明日かな。ずっと止まるわけにはいかねーからな。」
「はい。おやすみなさい。」
「ん。おやすみ」
明日か………。明日、お礼はみんなにちゃんと言おう。
私は少しの間、ヤノウくんの背中を眺めていた。